[ワシントン 24日 ロイター] – トランプ米大統領は24日、新型コロナウイルス感染拡大阻止に向けて制限されている米経済活動を4月12日のイースター(復活祭)までに再開させたいとの考えを示した。
トランプ大統領はFOXニュースに対し「インフルエンザによって数千人が毎年亡くなっているが、国の活動をストップさせていない」とし、「経済活動を停止することで国を破壊する恐れがある」と懸念を表明。「イースターまでに米国の活動を再開させたい」と語った。
国内で感染者が急増しているにもかかわらず、新型ウイルスを再びインフルエンザと比較するなど、パンデミック(世界的大流行)の深刻さを軽視する姿勢を示した。
トランプ大統領はFOXニュースで生中継されたタウンホール(対話集会)で「インフルエンザによって数千人が毎年亡くなっているが、国の活動をストップさせていない」とし、「経済活動を停止することで国を破壊する恐れがある」と懸念を表明。「イースターまでに米国の活動を再開させたい」と語った。
さらに、国民がソーシャル・ディスタンシング(社会的距離戦略)を実行しながら、仕事に戻ることは可能とも述べた。
また新型コロナによって国内の多くの地域で事業が停止しており、「米国が大規模なリセッション(景気後退)に陥ることで多くの人の命が失われることになる。自殺者は数千人に及ぶだろう」と語った。ただ、具体的な根拠は示さなかった。
これに先立ち、ツイッターへの投稿でも「国民は仕事への復帰を願っている。ソーシャルディスタンスなどを実践しながら、年配の方々にも目配りしていく。二つの事柄を同時に行うことは可能だ。せっかく病気を治療しても悪化したら意味がない!」と述べていた。
トランプ大統領はその後、ホワイトハウスで行った記者会見で、経済活動再開の判断は専門家の意見を踏まえて行うとの考えを示し、やや態度を軟化させた。
会見に同席した米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は、活動再開の時期は柔軟だと述べた。
大統領は、事実とデータに基づいて活動再開を判断するとしたものの、イースターまでの再開を目指す姿勢は崩さなかった。
「機が熟し次第、経済活動を再開できるよう、(医療専門家やエコノミストらが)洗練された計画を練っている。最高の科学や最高のモデル、最高の医療研究に基づいた計画だ」と述べた。
教会などの礼拝施設は現在、ウイルスの感染拡大を防ぐため閉鎖されているが、トランプ氏はFOXの別のインタビューで、イースターに教会が人でいっぱいになれば「素晴らしいことだ」と語った。
<与野党から批判>
国防総省などが新型ウイルスの流行長期化を予想する中、経済の早期正常化を目指すトランプ氏の姿勢には民主、共和両党から批判の声が上がっている。
一部の州知事らは、新型コロナの感染拡大抑制に向けた自粛措置が米経済の打撃になっているとしても、解除するのは時期尚早であると警告した。
11月の米大統領選に向けた民主党の候補者選びで優位を固めつつあるバイデン前副大統領はMSNBCで、イースターまでの経済活動再開は現実的でないとの見方を示した。
ペンス副大統領はFOXのタウンホールで、ホワイトハウスの方針の正当性を主張する一方、より厳しい措置について州政府に判断をゆだねる考えを示した。
カドロー米国家経済会議(NEC)委員長は記者団に対し、15日間の自粛措置が終了する来週以降に感染者が少ない地域で経済活動を再開する可能性を検討していると述べた。
トランプ大統領は、24日の株高について、議会の景気刺激策を巡る期待感に加え、経済活動再開を目指す自身の方針が寄与したとも主張した。
極端な規制はコロナ被害を上回る死者が出る可能性がある